声帯ポリープについて
- 健康の話
- 2016.04.14

◆声帯ポリープとは?◆
別名「喉ポリープ」とも呼ばれますが、文字通り声帯にポリープが出来る病気です。
「ポリープ」とは粘膜組織にできる良性腫瘍のことです。
ポリープの周囲では慢性的な炎症が起こりやすく声帯炎と同様の症状を起こします。
〇嚥下障害・・・炎症の痛みで物を飲み込むことが困難になります。
〇発声障害・・・声がかすれて聞き取りにくくなります。(悪化すると全く発声できなくなります。)
〇喉の痛み・・・喉を奥にヒリヒリとした焼けるような痛みがあります。
〇喀痰・・・喉がイガイガして、頻繁に痰がからみます。
〇発熱
ポリープが大きくなると、同時に気道も狭くなってくるため息苦しさや高い声が出ないという症状もみられます。
また、放置しておくと、正常な発声方法ができずに誤った発声方法が習慣となってしまったり
炎症が進むことでポリープが増えてしまうそうです。
◆声帯ポリープの原因◆
〇声帯への直接的なストレス
「声帯」は振動することで音を発する器官ですので、声を出すという行為自体が声帯にはストレスがかかることになります。
したがって、この病気はアナウンサーや歌手など、芸能人ではEXILEのATSUSHIさん、平井堅さん、
くりぃむしちゅー上田さんなど、「喉を酷使する職業の人がかかりやすい職業病」と言われています。
〇喫煙や飲酒によるリスク
喫煙と飲酒は声帯ポリープを引き起こす大きな要因と言われています。
喫煙がCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がんをはじめとする呼吸器全体の病気の原因になることはよく知られていることですが
「声帯ポリープ」もそんな呼吸器疾患の一つです。
飲酒では、アルコールが持つ脱水作用によって食道粘膜が炎症を起こします。
その炎症が声帯付近にまで広がってくることで声帯にも悪影響が出て声帯ポリープや慢性声帯炎を起こしやすくなります。
〇精神的なストレスや不眠
精神的なストレスや不眠には「血管障害を起こしやすくする」という作用があります。
ポリープは代謝が落ちて古い細胞の排泄がうまくいかず、一箇所に留まり続けることで新しくできた細胞に
押し出されて出来るものです。
声帯は頻繁に動く器官であり、本来代謝サイクルが早いそうです。
しかし、ストレスや不眠からくる血流障害が長期化することで代謝が悪くなると、ポリープが出来やすい環境になってしまうそうです。
◆声帯ポリープの治療◆
声帯ポリープの治療は声の安静が第一です。
炎症が強い場合は、消炎薬やステロイドホルモンの吸入療法などの薬物治療も行われます。
風邪が引き金になってできた声帯ポリープや初期のポリープは、声帯に負担をかけないように生活することで
自然に放置していても炎症は良くなることがあります。
しかし、声の使い過ぎやタバコの影響によってできたポリープは、そのままのことが多く、ポリープがある限り
声のかすれなどの症状も続いていきます。
その為、治療しながら様子を見ていくことになります。
◆喉頭がんとの違い◆
最後に、芸能人のつんく♂さんが患った喉頭がんについて少しご紹介します。
喉頭がんは、中高年者の男性に発症することが圧倒的に多く、男女比は10対1、喫煙率が98%近くにものぼるといわれています。
過度の飲酒が関与しているというデータもあります。
声帯ポリープはよほどのことがない限り、呼吸困難を起こすほど大きくなることはありませんが、喉頭がんは放っておけば
どんどん大きくなるので、進行すれば呼吸困難に陥ることもあります。
声帯ポリープと喉頭がんかを見分けるには喉頭用の内視鏡を用いて、直接患部を診る検査が一般的です。
どちらの場合も最初のおもな症状は、声のかすれであることが多いそうなので、声を出さず安静にしてるにもかかわらず
2週間以上経っても改善しない場合は一度検査することをおすすめします。
南千住院 本間