困ったときは相談を
- 亀有南口分院
- 2017.06.03
人間、普通に生活していれば面倒くさいことや嫌なことに接することがあって憂うつになることもあると思います。
「憂うつ」という言葉の意味を調べてみると「気持ちがふさいで晴れないこと」と出てきます。
では、「憂うつ」と似た言葉でよく使われる「うつ」とではどう違うのでしょうか。
実はこの二つのうつは連続性のあるもので明確に区別することは難しいのです。
問題なのは、どこまでが「普通の憂うつ」で、どこからが「病的なうつ状態」なのかです。
ここで出てきた「うつ状態」とは医学用語で「抑うつ状態」とも呼ばれ
・気分が落ち込む
・気力がなくなる
・悲観的になる
・食欲がなくなる
・集中力や記憶力が落ちる
などの状態を示すものです。
「憂うつ」でもこれらのような状態が見られることがありますが、「うつ状態」との違いは何でしょうか。
・大きなストレスなどがあると、気分が滅入ったり、落ち込んだり、眠れなかったり、食欲がなくなったり、疲労感・倦怠感を感じることがあります。これがうつ状態になると程度が強くなり、苦しみが激しく、耐えることが困難になります。
・憂うつな状態はそれほど長続きしませんが、うつ状態になると長期間に渡って苦しむことになります。
・憂うつであれば日常生活での仕事や対人関係を維持できますが、うつ状態だとこれらを維持することが困難になります。
・憂うつな気分になっても気晴らしをしたり、友人と会話をするなど気分転換を図れば気持ちが楽になることがありますが、うつ状態では気分転換になりません。逆に気晴らしをすることで息苦しくなり、かえって人に会うことが苦痛に感じられます
・憂うつの場合、自分の力や周囲の人の助けによって解決することができますが、うつ状態だと自力でも他力でも助けることが徐々に難しくなります。
・うつになった理由や原因について、憂うつでは理解できますが、うつ状態ではある程度理解できても、「なぜこんなに落ち込むのか?」「なぜこんなに苦しいのか?」と理解することができません。
ここで、これまで「うつ状態」という言葉を使ってきましたが、決して「うつ状態」が「うつ病」を指す言葉ではありません。
うつ状態とは病気の状態像を指すもので、さまざまなうつ状態が考えられます。
例えば
・内分泌疾患によるうつ状態(甲状腺機能低下症、クッシング症候群、アジソン病など)
・脳疾患によるうつ状態(パーキンソン病、認知症、脳外傷、脳腫瘍など)
・その他身体疾患によるうつ状態(糖尿病、全身エリテマトーデスなど)
・パーソナリティー障害によるうつ状態
・統合失調症によるうつ状態
・双極性障害(躁うつ病)によるうつ状態
・単極性うつ病(一般的に言われてるうつ病)によるうつ状態
などがあります。
「腰が痛い」という方がいるとします。
腰痛という状態が「ぎっくり腰」「椎間板ヘルニア」「圧迫骨折」それとも「内科的疾患」によるものか検査をし、その結果から診断を下し治療をしていきます。
「うつ状態」も同じで、検査・診察をすることでさまざまあるうつ状態の中から診断を下し、それぞれの症状に合った治療をしていくのです。
なので、「うつ状態」と「うつ病」は異なるものと認識して、「うつ」という言葉を使う際は慎重に取り扱い、配慮をしていくといいのではないかと考えます。
そして、どのような「うつ状態」でも大変つらくて苦しいものと思います。
いつもの自分と少しでも違うなと感じたら、自分一人で抱え込まず、家族や友人など周りの人に話してみてください。
もし周囲の人に話しかけづらいときは遠慮なく専門家や医療機関に相談してください。
話を聴いてくれる人がいるというだけで、きっと気持ちがかなり楽になりますよ。
南口院 いたばし