お酒は健康にいいの?悪いの?
- Let‘s整骨院
- 2017.07.04
成人になれば、誰でもお酒を飲む機会があるでしょう。
友人などと楽しみで飲む事もあるし、仕事上の付き合いでもアルコールが利用される機会は少なくありません。
このアルコール、飲みすぎれば健康を害する事はみなさんご存じだと思います。
しかし一方で、「酒は百薬の長」という言葉もあり、「お酒は血行が良くなるから飲んだ方がいいんだ!」なんて言う人もいます。
果たしてこのお酒、身体に良いのでしょうか、それとも害しかないのでしょうか?
今日はアルコールと健康について考察してみましょう.
1.適量のアルコールであれば総合的に見て害はない
結論から言ってしまうと、
〇 過剰な飲酒は害の方が大きい
〇 適度な飲酒であれば、総合的に見て大きな害はない
と言えます。
WHO(世界保健機構)によれば、お酒は60種類以上のも病気の原因になり得ると言われており、
過剰な飲酒は健康を損ねるという事は間違いありません。
病気の一例を挙げると、
〇 アルコールを分解する肝臓に負担がかかり、肝硬変などのリスクが上がる
〇 消化管に負担がかかり、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、腸炎などのリスクが上がる
〇 膵臓に負担がかかり、膵炎や糖尿病のリスクが上がる
〇 更に消化管に負担がかかると、口腔がん、喉頭がん、胃がん、大腸がんなどのリスクが上がる
〇 脳を委縮させ、認知症などのリスクが上がる
などが長期飲酒・大量飲酒で指摘されています。
過剰な飲酒は健康を損ねます。
これは間違いありません。
ちなみに過剰飲酒とは、厚労省によれば純アルコール量60g/回程度の飲酒を指します。
(度数5%のビールであれば1500ml/回程度)
しかしこの値はあくまで目安であり、体質的にお酒に弱い方などは
この量以下の飲酒であっても上記疾患のリスクになり得ます。
では、適正な量の飲酒であればどうでしょうか。
適正量の飲酒というのは、同じく厚労省によれば、純アルコール量20g/回程度の飲酒を指します。
(度数5%のビールであれば500ml/回程度)
これは、総合的に見ると大きな害はないようです。
しかし注意すべきなのは、適正量の飲酒であれば、
ある疾患は発症率が上がり、ある疾患は発症率が下がるため、
総合的に見れば害がないという事です。
つまり病気の種類によっては発症リスクを上げてしまう可能性があるため、
個々人の持病や健康状態に応じて個別に判断すべきだという事です。
2.少量のアルコールでリスクが下がる疾患
疾患ごとにアルコールとの関係をみると、面白いことが分かります。
疾患の種類によっては、適正量の飲酒をしていた方が発症リスクが下がるものがあるのです。
つまり、飲酒した方が病気になりにくくなる、という事です。
アルコールには様々な作用がありますが、そのうち良い作用を挙げると
1. HDLコレステロール(いわゆる善玉)を増加させる
2.血小板の凝集を抑制する(≒血液をサラサラにする)
3.インスリンの分泌を促し、インスリン感受性を上げる(≒血糖値を下げてくれる)
などが報告されています。
これらのはたらきから、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などの疾患は、
少量の飲酒をしていた方が発症率がやや下がるという報告があります。
また死亡率も、研究結果としては少量飲酒していた方がやや下がるという事です。
狭心症や心筋梗塞、脳梗塞は、血管が詰まる事で発症します。
アルコールは善玉コレステロールを増やして、血管内のプラークという脂肪の塊を減らし、
また血小板凝集を抑制する事で血液を詰まりにくくしてくれるのだと考えられています。
また、インスリンの分泌が増えてインスリン感受性が上がれば糖尿病のリスクが減ります。
ちなみこの「少量飲酒をしていた方が病気の発症率が下がる」という現象はJカーブと呼ばれています。
いつも雑な図で申し訳ありませんが、図に表すとこのような感じです。
アルコール量が0(非飲酒者)よりも、少量飲酒者の方が発症率が低い事が分かります。
ちなみにこのJカーブ説は、複数の研究で同じような結果が出ており、
一番発症リスクが少ないJの底の部分の純アルコール量はおおそよ20g前後です。
これが「適正な飲酒量というのは純アルコール量20g」という根拠になっていると思われます。
ただしJカーブには一つ、重要な注意点があります。
虚血性心疾患や死亡率などでJカーブを描くのは、先進国の中年男女のみだという事です。
逆に言えば、途上国の方や先進国であっても若年者の方には当てはまるとは言えないようであり、
全ての人にとって「少量飲酒は身体に良い」わけではありません。
3.少量のアルコールでのリスクが上がる疾患
では次にJカーブを描かずに、少量でも飲酒をすると発症リスクが上がる病気には
どのようなものがあるでしょうか。
これは、上で説明した疾患以外すべてが当てはまります。
肝障害(肝炎や肝硬変)、胃腸疾患(胃炎、腸炎、胃潰瘍、胃がんなど)、
高血圧、脂質異常症、脳出血、認知症などが挙げられます。
飲酒をすればするほどリスクが上がっていくため、これらの疾患を持っている方、
あるいはこれらの疾患にかかる可能性が高い方は、飲酒は極力しない方がいいでしょう。
4.まとめ
総合的に見ると、適正なアルコール量(純アルコールで20g/回)であれば大きな害はない。
先進国の中年男女に限って言えば、適正な飲酒であれば
虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、脳梗塞、糖尿病などの発症リスクはやや下がる。
その他疾患に関しては飲酒量が多いほど発症リスクが上がる。
先進国の中年男女以外に当てはまる人は、適正な飲酒であっても、
飲酒量が多いほど疾患の発症リスクは上がるため、飲酒量はなるべく少ない事が望ましい.
レッツ整骨院 青田