若年性パーキンソン病
- 金町院
- 2018.11.19
パーキンソン病は高齢になるほど増えてくる病気ですが、40歳以下で発症する若年性パーキンソン病もあります。高齢で発症する場合とは違った特徴があるので注意が必要です。
若年性パーキンソン病は、高齢になってから発症する場合と、症状の現れ方が少し異なります。静止した状態のときに起こるふるえや、姿勢を保つことが難しくなるために起こる転倒は、パーキンソン病の典型的な症状とされていますが、若年で発症した場合はあまり多くありません。
若年性パーキンソン病に多くみられる症状は、表情が乏しくなる(仮面様顔貌)、動作がゆっくりになる、においに鈍感になるなど。便秘や摂食障害などの自律神経症状やうつなどの精神症状もみられますが、いずれもパーキンソン病に特有の症状ではないため、精神疾患など別の病気と間違えられやすい傾向があります。
治療の基本は、薬物療法でドパミンを補います。高齢者に対しては、ドパミン前駆物質のレボドパという薬を使うのが一般的です。
ただし、この薬は作用時間が短いため、薬の効果が切れると急に動けなくなる点(ウエアリング・オフ現象)が問題とされています。長く効かせようと量を増やすと、ドパミン受容体が過剰に刺激されて、今度は不随意運動(ジスキネジア)が起こることも。
若年性パーキンソン病の場合、とくにウエアリング・オフ現象が起こりやすいため、効き目は穏やかなものの作用時間が長いドパミンアゴニストを使うケースが多いようです。
パーキンソン病は徐々に進行していく病気ですが、若年性パーキンソン病はとくに進行がゆっくりで、軽症の場合が多い傾向があります。
治療薬の開発も進んでおり、転倒による骨折や他の病気に注意すれば、パーキンソン病になっても平均寿命とほぼ変わらないだけ生きられるといわれています。そのためには、適切な治療を根気よく続けながら、規則正しい生活を送ることが大切。姿勢を保つためにストレッチや散歩など適度な運動をすることも重要です。
運動、睡眠、食事、薬が基本です。運動は健康維持に必須です。はげしい運動ではなく散歩やストレッチをお勧めします。散歩は1日8000歩を目安にできるとよいと思いますが、自分の体調に合わせて計画してください。ストレッチは姿勢の維持に役立ちます。前かがみや斜め横になる姿勢が起こりやすくなります。自分ではまっすぐと感じる姿勢が、実際には斜めになっていることが少なくありませんので、できるだけ鏡を見て姿勢を良くしましょう。自分では大丈夫と思っていても転倒が起こりやすいので、躓くようなものは片付け早めに手すりを付けます。小さな楽しみを作って、毎日を工夫して過ごしましょう。
私たちは年を取ると病気が増えます。病気は大変ですが、病気をしても楽しんで若い方に生き方の手本を示しましょう。
金町院